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犬連れへんろ*二人と一匹のはなし*

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2008年 09月 05日

第9話 雪の足摺へんろ旅 2001~2002冬

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 フェリーの旅はいいものです。甲板で海風を受けながら、買ってきたお弁当を広げると、もうすっかり、のんびり気分。バタバタと、あわただしく旅の準備をした事も、イライラと、渋滞をくぐり抜けて来た事も忘れ、突然、の~んびりゆ~っくりした時間が流れはじめるのです。この冬のお遍路は第37番札所岩本寺(Iwa-moto-ji)から歩きます。
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 まず、宿毛(Sukumo)の港に着くと、車で岩本寺まで。今日は、この岩本寺の駐車場に車を置かせていただき、お寺の宿坊に一泊してから、翌朝一番の出発です。夏にはとてもできない事ですが、冬は、はなを車にひと晩寝かせる事ができるので安心です。お蔭で、暖かいお風呂に入ってゆっくりと眠り、翌朝すがすがしく目覚めてからの、歩き遍路出発となります。まだ暗い5時半起床。荷物を片づけて、白装束に着替え、出発すると、門前の喫茶店がもう開いていて、モーニングが食べられるそうです。やっぱりお四国らしいなぁ、と感心しながら、早速、腹ごしらえをしましょう。この朝のメニューは、パンとコーヒー・サラダなどに続いて、なんと味噌汁が登場しました!ちょっと、びっくり(笑)。私たち以外のお客さんが、みんなご近所のおじちゃん、おばちゃん達でしたから「やっぱり、朝は味噌汁さ~」と言う事なのかなぁ?と思いつつ、また楽しい旅がはじまります。


第9話 雪の足摺へんろ旅 2001~2002冬_c0049299_20423339.jpg さて、冬ですから当たり前ですが「寒い、寒い」と言いながら、ピューピュー吹く風の中、体を温めるように歩いていると、それもそのはず、ちらほらと雪が舞って来ました。そして、数年前に出会った、おばちゃまカメラマンの国恵さんと待ち合わせをした峠に近づくと、もうみぞれ混じりの吹雪です。電話で話をしたときに「そこで待っててね」と言われたので、峠のドライブインの軒先で吹雪宿り?をしていたのですが、そこに、わざわざ私たちのために、国恵さんが作ってくれた、白玉入りの特製おしるこを持ってきてくれました、それもお鍋にお玉をつっこんだまま(笑)。もちろん、立ったままですが、その場でおいしく頂きました。時には我が子のように接して下さる、四国の方々のこのような心があるからこそ、おへんろ文化は長く育まれて来たのでしょうね。こうして私たちは、身も心もポカポカになり、雪の街を歩いていても、とても満たされた気持ちになる事ができたのです。南九州に暮らしている私たちは、ほんとは雪が珍しくて、ちょっとワクワクするような気分なのですが、降ったりやんだり、お天気につれて、ポンチョを着たり脱いだりしながら、ピタピタ、ゴロゴロと冷たい風の中を歩き続けました。
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第9話 雪の足摺へんろ旅 2001~2002冬_c0049299_21154012.jpg 2001年12月30日(日)この日のお宿は、いつも大変お世話になっている、道路沿いの大規模公園です。何といっても、トイレと水があって、テントをはれば、ゆっくりできるのです。そして、迎えた大晦日の翌朝には、なんと、太平洋からの日の出をどーんと真正面に見ながら、本当にキリリとしたステキなひとときを過ごす事ができました。テントのすぐ前を、朝の散歩の人たちが「おはよう!」と言って通っていきますよ。毎日こんな絶景の散歩コースが歩けるなんて、うらやましいなぁ。きのうは高知のカメラマン山沖氏が、古いトンネルを通る、私たちの写真をとりに現われ、懐かしい再会をしたのですが、きょう大晦日は、同じくカメラマンの竹葉さんが差し入れを持って来てくれました(ありがたや)。



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何しろこちらは歩きなので、そうそうおいしいものには、ありつけませんし、私たちの居場所は、歩きの遍路道さえ知っていれば、すぐに見つけることができます。そして、そのたびに休憩をとり、おいしいものを食べられる私たちにとっては、手をあわせたくなるほどに、本当にありがたい事なのでした。


 「さーて、年越しはどの辺でするかなぁ…」などと話しながら、テクテクゴロゴロ歩いていましたが、私たちは結局、その前後の行程も考えて、砂浜で、テントをはることにしました。いつもは日が暮れるとさっさと寝袋に入って寝てしまうのですが、この日は大晦日。久しぶりにたき火をして暖を取り、しばらく、じっと炎をみつめながら、静かな時間を楽しみました。





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 「もう、大晦日なのねえ…」
 「また一年が駆け足で過ぎていったね。」
 「こんな調子で、人生なんて、あっという間に終わってしまうのねぇ。」
 「だからこそ、一日一日を大切に生きていかなきゃね。」
 本当に、普段はバタバタと忙しく騒がしい生活をしていますが、おへんろで過ごす時間はとても静か…、思わずこんな会話も飛び出してきます。この静けさの一番の原因は、何といってもTVがない事でしょうね。TVだけではなく、現代人の私たちが持っている、沢山の物・もの・モノ!家の中を埋めつくしている沢山のモノの中で、本当に無くてはならないものって、果たして、いくつあるのでしょうか? いそがしい時間に流され、他人と自分との比較に振り回され、おまけに騒音の波にもまれていると、静かに頭を休めるような時間は、なかなか持つことができないものですよね。そういう点でも、お遍路の静かな時間は、私たちに、本当に忘れていた大切な事を、沢山思い出させてくれるような気がします。そして、ここ10年ほど、ずっとそうなのですが、またしても、TVもラジオもおせちもない(笑)ないない尽くしのお蔭で、静かな静かな大晦日の夜が、あたたかな焚き火の炎とともに、静かに更けて行きました。
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 2002年1月1日(火)朝、テントで目覚めると、そこは砂浜です。初日を拝もうと思っていましたので、夕べの焚き火の跡に、また火を起こしました。凍える身体を焚き火で暖めていると、少しずつ空と海の境界線が見えてきます。雲は出ているけれど、とても素敵な初日です。今、この瞬間を、日本じゅうで、一体どれほどの人が固唾を飲んで見守っているのでしょうか。昨日の朝日も、今日の朝日も、同じように素晴らしいのに。。。とは言いながらも、おめでたい初日に、やっぱり手を合わせてしまう私たちでした。今年もどうぞよろしくお願いいたします…。

 ここで、自主的伴走カメラマンのYさんたち登場。あわただしく新年の挨拶をして、私たちと初日の出の写真を撮ったかと思うと、もう次の撮影地、お正月らしい雪の風景を撮りに、山間の集落へ向かいました。またきっと、秘密の撮影ポイントへ行くのでしょうね^^v しかし実は、このあと彼らは、ちょっと後悔する事になるのです。だって、私たちについて来ていれば、それはそれは珍しい「お正月の雪の足摺岬」を撮る、千載一遇のチャンスが巡ってきたのですからねぇ、残念(笑)!

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第9話 雪の足摺へんろ旅 2001~2002冬_c0049299_9544956.jpg さて翌日も、海水浴場の隅っこにテントを張らせていただきましたが、朝起きてみると、砂浜と波の間に雪が積もり、白い帯状のじゅうたんになっていました。とてもきれいだったので何枚か写真をとりましたが、すぐに本格的な雪になりそうでしたので、あわてて荷物を片づけての出発です。降ったり止んだりの雪に、またまたポンチョを着たり脱いだりしながら、午後2時ごろ、ようやく足摺岬に到着。今日は、いよいよ2002年はじめてのお参り、第38番札所 金剛福寺(Kongo-fuku-ji)に初詣です。ちょっとおめかしの沢山の初詣の人々に混じって、ちょっと汚れたお遍路さん二人と犬一匹も、無事にお参りを済ませました。納経所へ行くと、はなを見て、中から白いワンチャンが出てきましたよ。はなもお利口さんですが(親ばかです)このシロチャンも納経所の皆さんや、参拝者の方々から可愛がられて、とてもお利口さんのようです。ところが、2匹とも顔を突き合わせてクンクンと匂いを嗅いでいたかと思うと、いきなり、シロチャンが「グワ~!」と、はなに向かって飛びかかりました。ここはシロチャンにとっては、自分の縄張りですから、侵入者と見なされたようです。一瞬、しまった!と思いましたが、次の瞬間には、もう形勢逆転です。なんとはなが、シロチャンの上に乗っかり、仁王立ちしているのです。上から踏みつけられて、シロチャンは「キャイーン」と鳴いてしまいました。ごめんね~シロチャン。でも、お互いに怪我もなく、シロチャンも無事に、納経所の中へ帰って行きました。一方はなは、「年はとっても、まだまだ私も、捨てたもんじゃあないわね。」とでも言いたげに、余裕を見せて耳をかいたりしています。全くのん気なものです。どうも皆様、お騒がせいたしました。こんな事件はあったものの、その頃、私たちのフォト&エッセイが掲載されていた四国へんろ誌(残念ながら廃刊になりました)の読者だった納経所のお母さんから、万が一、夜に雪が降っても大丈夫な場所を教えていただきました。そのお蔭で、この暴風雪のようなひどい夜を、小さなテントで、二人と一匹、無事に心地よく過ごすことができたのです。本当にありがとうございました。
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第9話 雪の足摺へんろ旅 2001~2002冬_c0049299_1094579.jpg さて次の朝、目覚めると、なんだか妙にシーンとしています。「ひょっとして…」と言いながら、テントの外に出た主人が「やっぱり雪積もってるよ」と言って戻ってきました。早速、二人と一匹で、足摺岬の展望台に登ると、それはそれは素晴らしい景色。予想だにしなかった雪の足摺岬です。何だか突然、ご褒美をいただいたような嬉しい気持ちになり、夢中で写真を撮っていました。展望台には、シロチャンと一緒に、朝の散歩に来られた住職さんもいらっしゃいましたが、こんな景色ははじめてご覧になるのだとか。門前の食堂のおばちゃんも、生まれてはじめてだと言っていたし、本当に私たちは、なんて恵まれた旅をしていることか! この南国足摺の雪景色を見られただけでも、この冬の旅に出た甲斐がありました^。^

 足摺岬からは、今回は行きと同じ道を戻りましたが、相変わらず降ったり止んだりの雪の中、群馬から来られた70代のご夫婦へんろさんにお会いしました。ご高齢でも、元気に仲良く、お二人で歩いておられるご様子を見て、私たちもああいう夫婦になりたいものだ、と二人で話したものです。さらに、2日前と同じ海水浴場で、もう一泊したのですが、駐車場にライトがついたままの車がありました。そこで、砂浜に出ていた、若いカップルのお二人さんに、お知らせしたところ、そのお礼とお接待に…と言って、彼女の手作りのお弁当や、クッキーをおすそ分けしてくれたのです。彼のために作った手作りのナッツクッキー、愛情も加わって、さらにおいしぃ~!!文字通り「ごちそうさま」でしたね(笑)。

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 その翌日は、少し時間はかかったものの、何とかダムの公園までたどり着き、そこで一泊してから、今回の打ち止めのお寺第39番札所 延光寺(En-ko-ji)へお参りです。今回は、8日間で、たった3つのお寺を巡る、というゆっくりゆっくりの寒い旅でしたが、お蔭さまで沢山の素晴らしい景色にも出会えましたし、また素敵な人々にも会えました。最後にもう一度、延光寺で群馬のご夫妻に再会する、というおまけつきで、このお二人のように末永く仲良く暮らしていけますように、そして、はなも含めて、健やかな毎日が過ごせますように、と丁寧にお参りをして、この冬の「雪の足摺へんろ旅」は静かに幕を閉じました。








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( じゃ、またね♪ )

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★追記★
★いつも私たちの写真を撮ってくださる、高知の竹葉笑子さんが、
★第12回総合写真展で優秀賞を受賞されました。おめでとうございます!!
★平成20年10月16日(木)~30日(木)東京都美術館(台東区上野公園)
★入場無料だそうです。お時間のある方は、ごらんになってくださいませ。

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by inuzure | 2008-09-05 20:31 | ■連載シリーズ


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